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Space BD 「ライフサイエンス事業」 3回目のISSへの打上げ完了、新規診断薬開発に挑戦

宇宙産業における総合的なサービスを展開するSpace BD(本社=東京都中央区、永崎将利社長)では、国内外の企業・研究機関のサンプルの、ISS「きぼう」船内実験設備を活用し、微小重力空間の特性を活かした高品質なタンパク質結晶の生成技術を使ったライフサイエンス事業「タンパク構造解析サービス」を展開している。

同サービスでは、創薬研究で重要となる、ターゲットタンパク質構造情報の決定と化合物等との相互作用の検証を支援しており、通常の新薬開発プロセスで膨大な時間を要す候補化合物の選定において、高品質なタンパク質の構造情報を基づいて実験をすることで、リードタイムを大幅に短縮し、コスト削減に貢献する。

6月6日(日本時間午前0時47分)には米国フロリダ州のケネディスペースセンターから、ライフサイエンス事業3回目となるISSへの打上げを完了した。Space BDは、JAXA、丸和栄養食品(奈良県大和郡山市、伊中浩治社長)とのパートナーシップのもと、地上での結晶化条件探索、宇宙実験の適合性審査、サンプルの充填作業等をリードした。

2021年5月のISS「きぼう」高品質タンパク質結晶生成実験サービス開始から、現在までに3回の打上げを支援し、JAXAのアカデミア公募案件を中心に合計350以上のサンプル打上げを成功させてきた。今回の打上げによって、Space BDが受託しISSに送り届けた有償利用サンプルの合計は28になり、新たな挑戦としてシスメックス(神戸市中央区、浅野薫社長)と共同研究契約を締結し、診断薬開発の基礎データ取得を目的としたサンプルを打上げた。サンプルの帰還後、本実験結果をもとにした新規診断薬の開発を進めていく予定だという。

なお今回は、SpaceX社が運用するNASA 28 th Commercial Resupply Service mission(SpX-28)として打上げられるドラゴン補給船に搭載され、サンプル輸送された。

◀SpaceX_CRS28打上げの様子
◀サンプル充填作業の様子