宇宙に広がる、膜ソリューション
構造物分野で国内外に豊富な実績を持つ太陽工業は、宇宙における膜構造物の研究開発を行うcosmobloomに出資した。今後、宇宙空間における膜・ケーブルなどの柔軟な構造物の社会実装に向けた共同研究開発を推進し、将来的な製造・販売の可能性についても協議のうえ検討を進める。

▲スペースコロニーデモンストレーションモジュール(©JAXA/東京理科大学/清水建設)
膜やケーブルといった薄くて軽い柔軟な部材から成り立つ構造は、いわゆる「ゴッサマー構造」と呼ばれており、古くから宇宙機の構造様式として注目されてきた。軽量性、展開性、収納性に優れており、小さく折りたたんで宇宙空間に運ぶことができる。一方、きわめて柔軟な構造物のため、その挙動を予測することが難しいという難点がある。cosmobloomは、非線形弾性力学解析コードNEDA(Nonlinear Elasto-Dynamic Analysis code)という独自の解析技術を用いてこの挙動予測を行っており、この技術は2010年にJAXAが打ち上げた小型ソ-ラー電力セイル実証機IKAROSの膜面展開シミュレーションに実際に利用されている。
太陽工業は、19年に作製した宇宙の居住空間を検証する『スペースコロニーデモンストレーションモジュール』をきっかけに、宇宙関連事業への検討を開始した。21年には「宇宙開発利用加速化戦略プログラム」(スターダストプログラム)の一環である「宇宙無人建設革新技術開発推進事業」(国交省および文科省連携)の技術研究開発に参画し、22年から「月面インフレータブル居住モジュールの地上実証モデル構築」に取り組んでおり、現在も開発を継続している。
2025年7月23日