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米シエラスペース社、日本企業とパートナー契約 地球低軌道の事業化と新産業創出を目指す

米国シエラスペース(トム・バイスCEO)と、三菱UFJ銀行、兼松、東京海上日動火災保険(TMNF)はこのほど、アジア太平洋地域における戦略的契約を締結し、日本企業3社はシエラスペースへ出資した。今回のパートナーシップを通じて、地球低軌道の事業化と新たな産業創出を推進する。

シエラスペースは、まもなく次世代宇宙往還機「Dream Chaser®」による国際宇宙ステーションへの補給ミッションを開始するほか、2026年には商用宇宙ステーション「Pathfinder」の打ち上げを予定している。同社は大分空港を「Dream Chaser®」のアジア拠点・宇宙港として活用する方向で検討を進めており、実現すれば日本全体で約3,500億円、大分県内で約350億円の経済波及効果が見込まれているという。また、商用宇宙ステーション「Pathfinder」では、宇宙空間の微小重力環境を利用した生命科学や物質・物理化学などの分野における学術的科学実験、創薬開発などの応用利用研究の他、エンターテインメント分野での利用も期待されている。

今回パートナーシップ契約を締結した4社は、昨年10月に国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構による「持続可能な地球低軌道における宇宙環境利用の実現に向けたシナリオ検討調査」に参画し、ISS退役後の地球低軌道活動や、ISSの延長を含む2025年以降の地球低軌道活動の在り方について協議し、課題や事業モデルを提言している。シエラスペースが推進している地球低軌道の事業化に、三菱UFJ銀行、兼松、東京海上日動が参画することで、宇宙産業サプライチェーンのさらなる拡大や、新たな産業創出にむけて取り組むほか、大分県を中心とした地域経済へも貢献することで、宇宙産業の発展に向けた取り組みの輪を広げる方針だ。

▲シエラスペース宇宙往還機イメージ