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Space BD 秘密鍵共有技術の研究開発の実証実験に ISS「きぼう」船外利用サービスを提供

宇宙産業における総合的なサービスを展開するSpace BD(本社:東京都中央区、永崎将利社長)は、総務省が手掛ける研究開発案件において委託先の一機関であるスカパーJSATを通じ、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟の船外プラットフォーム利活用サービスを提供し、9月5日に軌道上での運用を開始した。

総務省が委託する関係各社では、船外プラットフォーム利活用サービスを用いて「衛星通信における量子暗号技術の研究開発」に使用される光通信用装置の実証実験に取り組んでいる。ISS「きぼう」船外にある中型曝露実験アダプタ(i-SEEP)を活用した同サービスの特徴は、電力、通信などの実験に必要なリソースをISSから直接供給を受けることで、人工衛星による実験と比べて迅速、安価、かつ低リスクでの実験が可能である点だ。

Space BDは、JAXAからの打上げ機会・ISS「きぼう」船外利用枠の確保に加え、本装置が ISS 自体や ISS軌道上のクルーに対して安全であることを評価する安全審査、i-SEEP のインタフェース要求に適合していることを評価する適合性審査、さらに確実な ISS 軌道上-地上間の運用を実現するための運用準備等を、関係各社の要望に応じてカスタマイズを行い実施した。

Space BDが提供する同サービスの運用では、JAXA が開発した外部運用クラウドを活用している。これにより開発者は、事前に許可された JAXA 敷地外から ISS に設置された実験装置と通信することができ、Space BDが窓口となりサポートすることで、より効率的で手軽な軌道上実証を実現することができる。同プロジェクトにおいては、外部運用クラウドを用いた新規の通信方法が必要となったこともあり、開発者・JAXA・NASAとの間に立って調整を行い、ISS および地上のネット
ワークを模擬したNASA 試験設備(SONNY CARTER TRAINING FACILITY ©NASA)に実験装置模擬品を持ち込んで試験を行うなど、入念な運用準備を行った。

今回の実証実験は、i-SEEPに光通信用装置を搭載し、地上-ISS軌道上(約400km 上空)に設置した同実験装置と光地上局との間で光通信ができることを実証する計画となっている。
 
▲中型曝露実験アダプタ(i-SEEP)        ▲NASA試験設備 (©NASA)