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ワープスペース、衛星間光通信用の衛星初号機『LEIHO』(霊峰)のPRD完了

ワープスペース(茨城県つくば市、東宏充CEO)は6月20日、衛星間光通信サービスに用いる衛星初号機の基本設計審査(PRD=Preliminary Design Review)を完了し、ビジネス成立に可能な設計である確認ができた旨発表した。

PRDとは、人工衛星の基本設計が製造や運用上の諸条件を満たしているかをチェックする、衛星開発の過程で一般的に「第一関門」とみなされる審査で、民間による人工衛星開発の場合では多様な顧客ニーズやその収益性を念頭に設計を行うため、ビジネスが成立するかも併せての重要な審査となる。このPRDは、「WarpHub InterSat」(ワープハブ・インターサット)と呼ばれる光通信ネットワークを構成し、2025年に打上げを予定している初号機『LEIHO』(霊峰)に対して行われた。

30年までに地球を周回する人工衛星数は4万~5万基に上ると推定される中で、人工衛星の数が増えることによって電波の周波数帯域の枯渇が危惧されており、またセンサー機器の発展により、電波では高容量の通信ができないことが宇宙開発のボトルネックになると危惧されている。ワープスペースはこれらの問題を解決するため、低軌道を周回する人工衛星向けに、光を用いた即応通信ネットワークサービスであるWarpHub InterSatの展開を目指し、同サービスは中継衛星3基を第一世代とした展開の実現を見据えている。

そんな中、PRDの完了には、概ね次の要素が必要とされた。■通信の高容量化・低遅延化や端末の小型化など顧客の要求を満たす最適なサービスであること■顧客に提供するための適切な機器や軌道の選定■競争力・安定性を維持するサプライチェーンおよび製造コストの最適化。

今回のPRDは、宇宙開発や光通信に関する知見や開発実績を持つ経験者が中心となったチームの視点より、設計の基礎条件である要素が満たされていることが確認され、事業性も担保されたことで、ワープスペースとしてLEIHO(霊峰)の開発を、次のフェーズへと進めることが可能となった。