宇宙向け半導体の性能向上めざす
レゾナックは、現在開発している、宇宙線に起因する電子機器の誤動作(ソフトエラー)を低減する半導体封止材の評価実験を、今年秋をめどにISSで開始する。

▲評価用の半導体チップを搭載した動作評価装置
同実験は、米民間宇宙企業Axiom Spaceに委託しており、レゾナックは今年4月に、評価用半導体チップを搭載した動作評価装置を材料暴露実験装置(MISSE)に設置した。同装置は、今年秋に打ち上げられ、国際宇宙ステーション(ISS)での評価が開始される予定であり、同封止材によるソフトエラー低減効果が確認されれば、既存の宇宙向け半導体の性能向上や、地上で使われている半導体の宇宙向けへの適用などが期待される。
プロセッサの演算能力向上のニーズが高まっている中、宇宙向けプロセッサの演算能力向上においては、宇宙線に起因するソフトエラーが課題の一つとなっている。この課題に対しレゾナックは、宇宙線に含まれ、ソフトエラーを引き起す中性子を吸収する材料を配合した半導体封止材を試作した。同社はさらに実験を進めるため、地上試験では再現できない宇宙空間の放射線スペクトルの影響を検証し、宇宙向け半導体材料に求められる特性を特定するとともに、高性能な半導体材料開発において重要なデータを取得することを目指す。
2025年7月9日