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ローデ・シュワルツ×Qualcomm社/IoT-NTNのためのGSO・GEO衛星通信チップセットをテスト

  宇宙産業に固有のニーズを満たすカスタム仕様のテスト・ソリューションで協力

ドイツのエレクトロ企業、ローデ・シュワルツ(ジャパン/東京都新宿区)は、Qualcomm Technologies,Inc.社(以下、Qualcomm社)と共同で、非地上系ネットワーク(non-terrestrial network=NTN)を介したNB-IoTのための包括的なテストを幅広く実施し、対地同期軌道(GSO)および静止軌道(GEO)コンステレーションを使用する衛星ベースのNTNに特有の多数の課題に取り組んでいく。

これにより、3GPPリリース17規格に準拠したGSOおよびGE衛星コンステレーションによる様々な動作モードを網羅した双方向IoTを正確に検証する。MWC 上海2023(6月28~30日、上海新国際博中心)では、ローデ・シュワルツの展示ブースへの来場者に向けて、リリース17に対応したQualcomm社のNTN用IoTチップセットを活用した同試験ソリューションを実演紹介した。

この試験セットアップがカバーする機能は主要なものだけでも、大きな遅延やドップラー効果にともなう時間および周波数の同期、低い信号対干渉および雑音比(SINR)、省電力メカニズム、衛星エフェメリス、GNSS情報の取得などがある。これらのテストはQualcomm社の最新NTN用チップであるQualcomm 212SとQualcomm9205Sの検証ツールとしての役割を果たす。R&S CMW500ワイドバンド無線機テスタ1台で、R&S CMW500プロトコル・テスト・フレームワーク・シナリオと3GPPリリース17対応のR&S CMW NTN IoTプロトコル・イネーブラを活用でき、エンジニアはQualcomm社のNTN用チップを搭載したNTN NB-IoTデバイスを実際的な条件のもとで評価できる。また、このR&S CMW500ワイドバンド無線機テスタにR&S SMBV100Bと組み合わせてGNSS信号を生成し、GSOおよびGEO衛星基地局をエミュレートする。こうしてシミュレートしたGSO/GEO衛星ネットワークとのリアルタイムかつ総合的な接続を確立することにより、エンジニアは3GPPリリース17仕様に従って関連するシグナリング・テストとRFシナリオ・テストの実行が可能である。

ローデ・シュワルツは、衛星および宇宙産業におけるテスト・ソリューションの提供でリードしている。様々な衛星の打ち上げを通じた5G NTNの実現を可能にしており、衛星搭載機器や地上局、ユーザー端末の研究開発および製造試験から、通信リンクのモニタリングや保守にまで対応した包括的なソリューションを提供している。ローデ・シュワルツで無線通信の市場セグメントを担当するAlexander Pabst副社長は、次のように説明している。「当社は、3GPP無線通信エコシステムや衛星および航空宇宙エコシステムに豊富な経験があり、新たに登場してきたNTN市場におけるQualcomm社のような業界をリードする企業に向けても、最適なソリューションを信頼できるかたちで提供できる基盤を持ち合わせている。そうした産業に深く根差した理解を活かして、5G NTN衛星および宇宙産業に固有のニーズを満たすカスタム仕様のテスト・ソリューションで、パートナー企業と協力できることをとても光栄に考えている」。

さらに、Qualcomm社製品マネージメント担当のVieri Vanghi副社長も次のように述べている。「ローデ・シュワルツとは長年にわたって緊密な協力関係にあるが、今回、当社のIoT-NTNソリューションが3GPPリリース17に準拠していることを検証するためにも、ローデ・シュワルツのシミュレーション・ツールを利用でき大変満足している。両社の専門技術を組み合わせることで、Qualcomm 212SやQualcomm 9205S SoCのインテグレーションを行っているOEMメーカーは、クラス最高レベルの低電力性や規格準拠のソリューションの強みを活かして、急速に発展を遂げている分野においても優れたパフォーマンスを達成できる」。