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JAXAが生配信 「超小型衛星ミッションに挑む」 古川宇宙飛行士が学生とトークセッション

JAXA(宇宙航空開発研究機構)は昨年12月15日に、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在中の古川聡宇宙飛行士と地上を結ぶスペースジャパン特別企画『超小型衛星ミッションに挑む! 古川宇宙飛行士×学生トークセッション』をJAXAの公式YouTubeチャンネルにて配信した。

今回のイベントは、「#スペースJAPANを応援しよう」をテーマに、古川宇宙飛行士のISS「きぼう」に長期滞在中ミッションのひとつである「超小型衛星放出」をテーマに、2つの超小型衛星の開発チームに参加した高校生(「Clark‐sat1」開発チームのクラーク記念国際高校・吉田岳史さん)と、大学生(「BEAX」開発チームの東京農工大学・岡田枝恩さん)に加え、宇宙大好き芸人のきくりん氏やJAXAメンバーが参加し、古川宇宙飛行士とリアルタイムで交信を行い、宇宙事業への熱き思いを語り合った。

セッションでは、宇宙事業での課題や今後の展望についての学生からの質問に、古川飛行士は「宇宙ゴミ(スペースデブリ)の解決が直面する課題。回収事業にチャレンジするスタートアップ企業もあり、皆さんの柔軟な発想で解決していきたい。夢は月や火星探査への参加」と述べた。さらに、学生を中心に自主的に超小型衛星の開発に取り組んだことを称え、「自らの課題に挑戦し、衛星開発に取り組み実現したことは貴重な経験になる。今後も皆さんの活動を通じて、宇宙好きの輪を広げていただきたい」とエールを送った。

超小型衛星放出ミッションは、エアロックとロボットアームを備えた「きぼう」日本実験棟の機能を活用し、ISSから超小型衛星を放出する事業。現在、世界中で活発に開発・利用が展開されている超小型衛星の打上げ機会のニーズに応えるほか、国際協調の強化や技術実証・人材育成、ビジネス機会の創出による効果が注目されている。

宇宙教育プロジェクトの運用を活用しクラーク国際高が中心となり開発した「Clark-sat1」は10㎝角、重さは約0・94㎏で、地球環境を撮影するほか、高校生が自ら考えた応援メッセージを送信する。東京大学、日本大学、JAXAによる「BEAX」は2ℓペットボトルサイズで、重さは約3㎏。形状記憶合金を用いたエアロシェル展開など将来の超小型惑星探査機のための軌道上実証実験を行う。なお、トークセッションに登場した2つの超小型衛星は、2023年12月18日にISSから宇宙空間に無事放出された。


▲リアルタイムで交信中の古川宇宙飛行士(左)と東京農工大・岡田さん(※配信画面撮影)

▲クラーク国際高が中心となり開発した「Clark-Sat1」(※配信画面撮影)