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ワープスペース、23年度NEDO『SBIR推進プログラム』に採択

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する『SBIR推進プログラム』(一気通貫型)の2023年度において、ワープスペース(茨城県つくば市、代表取締役CEO・東宏充氏)提案の「光空間通信におけるマルチプロトコルプラットフォームを実現するモデムおよびルータ開発」が採択された。

従来の通信方式では宇宙空間のデータを円滑に地球へと伝送することができない問題を抱えている。ワープスペースは小型衛星を活用した宇宙空間での光即応通信サービスの実現によりこれを解決し、地上に提供できる衛星データの数と取得スピードを上げ、防災や一次産業のデータ需要を充足することでの貢献を目指している。今回のプロジェクトを通じてワープスペースは、衛星光通信ネットワークにおける互換性・相互運用性を持つ光通信モデムおよびルータの開発に取り組む。

令和2(2020)年に閣議決定された宇宙基本計画に従い、光通信を利用した宇宙活動を支える総合的基盤の強化が日本の政策となっている中、アメリカを筆頭に世界中で官民多数の資本が投入され、衛星光通信ネットワークの競争が始まっている。この衛星光通信のネットワークに対して市場からは、Beyond5G等の次世代宇宙空間ネットワークまたは宇宙空間へのインターネットの拡充まで、それぞれが横断的に繋がる互換性・相互運用性が求められている。そんな中でそれぞれ独自に開発された通信ネットワークをひとつに繋げるためには、各通信ネットワークプロトコルを翻訳し、中継する機能を持つ衛星等の宇宙機が宇宙空間に必要であると認識しており、この機能をもった機材を開発することがこのたび採択された取り組みとなる。今回のプロジェクトを通じて開発した技術をもとに、ワープスペースは衛星光通信ネットワーク全体のハブとなることを目指し、壮大な宇宙空間インターネットを実現したいと考えており、今後も持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めていく。

同社の東CEOは、「日本は衛星間光通信技術を研究・開発してきた数少ない国のひとつであり、今まさにこの技術が、世界のデータ通信に変革をもたらそうとする応用のために、欧米の産官学が多大なリソースを割いている」とした上で、「このたびのSBIR推進プログラムへの採択により、日本発の技術をもって世界市場に立ち向かうための信任と強力な後押しをいただけるものと考えている。私たちの描く光通信による未来図を実現するため、全力で開発に当たっていく」と述べた。

なお、SBIR推進プログラムは、関係府省庁等が提示する研究開発テーマに取り組む中小企業・スタートアップ企業の研究開発および事業化を支援するものであり、社会課題を解決すると同時に、我が国のイノベーション創出を促進するための制度である。